経理

中小企業の経理効率化の方法とは?ステップや具体的方法・メリットを解説

中小企業の経理部門は1人で回しているなど人手不足の状態になっていることが多く、非効率な実務が行われている可能性があります。

多くの企業にとって、経理業務の効率化は大きな課題ではないでしょうか。

本記事では中小企業の経理効率化のステップや具体的な効率化の方法、経理を効率化させたことによるメリットなどを解説します。

中小企業の経理の効率化のステップ

中小企業を経営していて「経理業務に問題が多いことはわかるが、どう改善して良いか分からない」とお困りの方もいるでしょう。

効率化の方法はさまざまですが、代表的な流れとして以下の2つのステップがあります。

現状の問題点を把握する
ECRSの法則で効率化できる業務を整理する

ここでは、中小企業の経理の効率化の主なステップを解説します。

現状の問題点を把握する

経理業務を効率化するためには、いきなり対策に乗り出すのではなく、経理業務の全体像の把握が肝心です。

問題点を洗い出すなら、以下の方法で経理業務の流れを再確認しましょう。

現在の経理業務の全体像を全て書き出す
書き出した経理業務を時系列で書き出す
経理業務にかかっている時間を計測する

どの作業がどの順番で、どのくらいの時間をかけて行われているのかが明確になれば、自然と「この作業に時間がかかりすぎている」「この作業の順番がおかしい」といった問題点が見えてきます。

問題の作業を早く終わらせるように意識したり、無駄な業務を単純に削除したりするだけでも、業務改善に効果が見込めます。

ECRSの法則で効率化できる業務を整理する

業務内容の現状の問題点を洗い出し、簡単に対処できる部分を改善したあとはじっくり改善できるポイントを分析しましょう。

経理業務の改善に利用できる手法が「ECRSの法則」です。Eliminate(排除)/Combine(結合)/Rearrange(交換)/Simplify(簡素)の頭文字をとった言葉であり、現場の業務改善で用いられます。

取り除く(Eliminate)

業務のなかで、明確な目的がない作業や「何となく」行っている業務を洗い出して削除する方法です。

例えば、誰もチェックしていない帳票や、重複している報告書があれば、業務から排除することで効率的な仕事ができるようになります。

検討が容易で高い効果を見込めるため、業務改善では真っ先に検討したいステップです。

つなぐ(Combine)

2つの別々の仕事を1つにできないか検討する方法です。例えば、報告メールを1日に何回も送っている場合、1回にまとめればメール作成・送信の手間を削減できます。

細分化されすぎた作業をまとめると作業ごとの目的が明確になるため、工数削減も可能です。

組み替える(Rearrange)

業務内容を見直し、必要であれば再構築する方法です。例えば紙でやりとりしていた請求書をシステムでやりとりできるようにすれば、紙媒体の承認プロセスを排除できるといった内容が組み替えにあたります。

ほかにも、プリンタの位置を社員の近くに変更するだけでも社員の歩数が減り、業務の効率化につながる可能性があります。

簡単にする(Simplify)

これまで当たり前にこなしてきた業務を見直し、業務を簡単にできないかを考える方法です。

業務をカットするEliminateと異なり、業務は残しつつ無駄な部分をそぎ落としたり、パターン化したりするところに違いがあります。

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中小企業の経理の効率化の方法

中小企業の経営を効率化する方法にはいくつかの候補がありますが、企業によってどの方法が有効か異なります。

ここでは、中小企業の経理を効率化させるための方法として、以下の4つを解説します。

中小企業会計要領の導入
Excelやスプレッドシートの関数、マクロを活用する
クラウド会計の導入
経理代行を導入する

中小企業会計要領の導入

中小企業会計要領とは、中小企業向けに策定された会計ルールです。

中小企業の実務に配慮した作りになっており、導入すれば以下のようなメリットを享受できる可能性があります。

複雑な経理業務を簡略化できる
不正やミスの発生を防止できる

中小企業会計要領を採用すると業務効率化の一助になるばかりでなく、決算書の信頼性が向上して銀行からの融資が受けやすくなるメリットがあります。

Excelやスプレッドシートの関数、マクロを活用する

お金をかけずに経理業務を効率化させる方法として、ExcelやGoogleスプレッドシートなどで「関数」「マクロ」などを活用する方法があります。

例えばミスが起こりにくい計算やデータ抽出は関数を使って自動化させれば、誰でも正しく作業ができるようになります。

またマクロ機能を利用して自分が行った操作を記録すれば、次回から自動化できるようになります。

ただし、関数やマクロの使い方を熟知している社員がいるのが前提です。自社にExcelやGoogleスプレッドシートに詳しい社員がいない場合、「クラウド会計」「経理代行」が候補になるでしょう。

クラウド会計の導入

クラウド会計とは、インターネット上で会計システムを利用できるサービスです。簡単な経理の知識があれば利用でき、データ連携によって手入力の手間が削減されるメリットがあります。

またAIによる自動仕分けができたりリモートワークが可能になったりと、経理業務の大幅な効率化が可能です。

単純作業をシステムで自動化できれば、書類確認や社内会議といった、システムではこなせない重要な仕事に時間を割けるようになります。

経理代行を導入する

経理代行は、経理業務を専門の代行会社に外注できるサービスです。

毎日の記帳だけでなく、毎月の支払いや入金など台帳の管理、決算や確定申告までさまざまな業務を外注できます。

経理業務を外注すれば担当者の業務負担を軽減しつつ、外注先のプロが自動的に最新の法令に基づいた経理処理をしてくれる点もメリットです。

中小企業の経理効率化のメリット

経理を効率化させれば中小企業にはさまざまなメリットがあります。考えられる代表的なメリットは以下の5つです。

コストを削減できる
ほかのコア業務に集中できる
労働環境の改善が可能

ここでは、中小企業が経理業務を効率化させるためのメリットの詳細を解説します。

コストを削減できる

経理業務を効率化して手作業を減らせば、さまざまなコストを削減できます。

データの電子化による印刷費用・郵送費用の削減
ミスの発生率低下による残業代の削減
経理社員の人数削減による人件費の削減 など

経理部門の社員を営業や製造部など売上に関する部署に配置転換ができれば、会社全体の収益増加につながる可能性があります。

ほかのコア業務に集中できる

定型作業を自動化できれば、経理社員をほかの作業に従事させることが可能になります。例えば単純な入力作業を外注やシステムに任せられれば、入力後の分析にかける時間を大幅に増やせます。

事業分析や管理計画の策定など重要なコア業務に人材を集中させれば、会社の利益増につながるでしょう。

労働環境の改善が可能

経理の業務の効率化は、労働環境の改善につながります。

1人または少数の経理社員で業務をこなす中小企業では社員の負担が大きくなりやすく、残業時間が多くなる可能性があります。自動化によって業務負担が削減されれば残業時間が短縮され、労働環境や社員満足度が向上します。

また、会計システムを導入すれば経理業務はリモートワークが可能になり、場所にとらわれない働き方の実現も可能です。

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まとめ

中小企業の経理効率化のステップや具体的な効率化の方法、経理の効率化によるメリットなどを解説しました。

中小企業の経理は1人だけが従事しているケースが多く、属人化が進んでいたり不正を見抜ける人がいなかったりと問題を抱えています。

事業運営を効率化するためだけでなく、法令や税制のルールを遵守した経理を実現するためにも、業務効率化の検討が大切です。

今回紹介した対策のなかでも「クラウド会計の導入」「経理代行の導入」は効果が大きいため、ぜひ検討してみましょう。

監修者

甲田拓也
甲田拓也 (公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表) 早稲田大学卒業後、PwCグローバルファームや個人会計事務所を経て現事務所を設立。節税、資金繰り、IPO・マーケ支援を行うプロ会計士として活動。YouTubeでも情報発信中!

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